2018.05.07
2018年5月31日に久留米大学バイオ統計センター公開セミナーを開催します。
日時:2018年5月31日(木)15:00-17:00
場所:バイオ統計センター 講義室
講演者:古川恭治(久留米大学バイオ統計センター・教授)
演 題:放射線リスクとその評価 --- 統計研究者の役割
概 要:医療診断や治療、職業や環境などからのさまざまな放射線
被曝の機会が増えるとともに、放射線の健康影響への関心
が高まっている。どれくらいまでの被曝が安全か?につい
ての規制基準の決定は、疫学研究からのリスク評価に頼ら
ざるを得ない。しかし、高線量被曝ががんや白血病など、
さまざまな健康影響を引き起こすことはよく知られている
一方で、低線量被曝の影響やそのメカニズムについては、
多くの研究にも関わらず、依然不明確なままである。本発
表では、放射線のヒトの健康への影響を調べる上で、最も
信頼性の高い情報を与えてきたとされる 原爆被爆者の疫学
コホート研究を例に、放射線リスク評価に特有の様々な問題、
批判について統計学的な立場から解説し、統計研究者の果た
すべき役割の重要性について議論する。さらに、最近の研究
例として、複数のがんを対象にした放射線リスク評価におい
て、未観測因子による潜在的な効果(frailty)が及ぼす影響、
特に、反直感的なバイアスの可能性について検討する。