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2015.11.20セミナー

2015年11月19日に久留米大学バイオ統計センター公開セミナーを開催しました。

バイオ統計センター公開セミナー

日時2015年11月19日(木)15:00-17:00

場所:バイオ統計センター コンピュータ室

講演者:内田和彦 (筑波大学・医学医療系 准教授)

演題認知症の早期発見のためのバイオマーカー探索研究 ― コホート研究とオミックス解析 ―

概要: 認知症の60-80%はアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)である。アルツハイマー病についての理解はこ数年で大きく変わった。その発症までに20年以上を有する慢性疾患であり、臨床症状のないプレクリニカル期をpathophysiological-AD(病理的な定義からのアルツハイマー病)とする新たな診断定義も提唱されている1)。また、糖尿病や耐糖能異常、また中年期の高血圧がアルツハイマー病発症の危険因子であることが明らかになり、いわば生活習慣病のなれの果てがアルツハイマー病といえる。
 一方、アルツハイマー病など認知症の予防についての知見も蓄積されつつあり、早期発見・介入の
重要性が示唆されている。特に認知症の前駆段階の軽度認知障害(MCI)や、プレクリニカル期にお
ける介入が効果的であるといわれている。これらの時期では目立った臨床症状がないために、診断
や早期介入の指標となるバイオマーカーが必要である。バイオマーカーは病態に連動して変化する
生体情報および発症のリスクなどと関連する生体情報であり、サロゲートマーカーのように臨床上の
決定を行う上で有用な生体情報であれば疾患の原因と直接関係して無くてもよいと考えられている。
 アルツハイマー病では脳脊髄液(CSF)中のリン酸化タウタンパク質、アミロイド・ペプチド(A・・)が
バイオマーカーとして有用であるが、CSFの採取は侵襲的である。簡単な問診・テストでも人手と時間を要し、脳画像解析はそのための設備が必要である。MCIやアルツハイマー病の早期発見を目的としたスクリーニングでは、血液を用いた検査に大きな期待がかかっている。
 バイオマーカーの臨床有効性を検証するためには、多施設が参加する横断研究と、地域の住民の
協力をもとに発症前から発症にいたるまでに時間軸で参加者を解析する縦断研究が重要であり、わ
れわれは、筑波大学を中心にした横断研究と、利根プロジェクトと称する茨城県利根町における縦断
研究によって、MCIとアルツハイマー病の血液バイオマーカー探索とその臨床有効性の検討を行って
きた。これらのコホート研究から得られる血清・血漿を用いてLC-MSによってペプチド・代謝物を網羅的に探索するOmics解析と、いくつかの候補タンパク質に着目したFocused proteomicsを行ってきた。後者において、われわれはA・・が分子シャペロン、補体C3・C4、アポリポタンパク質(apoA1, apoE. apoJ)やトランスサイレチンなどによってsequester(凝集・毒性の防御と排除)されることに注目した2)。補体C3は非活性化全長C3を特異的に検出する抗体を用いたELISAを構築して測定した。これらのsequester proteinのMCI、アルツハイマー病、認知機能健常対照(NDC)における血清中の変化について、臨床サンプルを用いた縦断研究、横断研究、前向き研究で解析を行ったので、これらの結果について紹介したい。
  1) Alzheimer’s Association, Alzheimer’s & Dementia 11:332 (2015)
  2) Uchida, K., et al., Alzheimer’s & Dementia DADM, 1:270 (2015)
 

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